今回の新成分開発の出発点は、コウジ酸の美白作用メカニズムのひとつに着目したことでした。現在、シミのメカニズムとして、紫外線を浴びると複数の反応が連鎖的に起こり、炎症から日焼け、そしてシミへと進行することがわかっています。そのなかで私たちが目をつけたのは、シミができる前に肌で起こる炎症。シミのメカニズムのなかでも初期の段階でシミをつくる指令をストップすることで、より高い効果が得られるのではないかと考えたためです。この考えにもとづき、紫外線を浴びても「日焼け」にしない美容成分という、これまでにないテーマのもと、開発をスタートさせました。
まずはシミの原因となる炎症を引き起こす物質NF-κB(エヌエフカッパービー)の働きを抑える美容成分を調べました。無数にある素材をひとつひとつ試験し、たどり着いたのがキンギンカ抽出液です。得られたデータは高い効果を示し〈図1〉、新たな抗炎症成分の開発に向けて大きな手応えを感じました。